ゴルフ場利用税とは?廃止される?非課税になるケースも解説
皆さんは、「ゴルフ場利用税」をご存じですか?単語に「税」と入っているのを見て頂ければ、税金であることがひと目でお分かり頂けるでしょう。
ゴルフをプレーしている皆さんで普段は意識していないかもしれませんが、ゴルフ場で楽しんでいる間にも税金を支払っているのです。そして、皆さんが払った税金はどこへ流れているのでしょうか。
今回は、「ゴルフ場利用税」とは何かを詳しくお伝えします。最近始めたばかりの方や、長くプレーしていたけれど税金の存在を知らなかった人まで、ぜひゴルフ場に行く前に一度チェックしてみてください。
ゴルフ場利用税とは?
ゴルフ場利用税は、ゴルフ場のコースでプレーする際に納めている税金です。1人あたり1日分の定額を納めます。ゴルフ場が所在している都道府県が、利用客に対し課税している「地方税」の一つです。
ゴルフ場利用税は、1989年に施行した「消費税」の導入までは「娯楽施設利用税」と呼ばれる地方税でした。娯楽施設利用税は、ゴルフ場以外にも「ダンスホール」「パチンコ」「麻雀」「ボウリング場」などの娯楽施設利用客に対して、利用した料金に応じて課税標準、もしくは利用日ごとに定額課税されるものです。
消費税の導入後は、娯楽施設利用税は廃止となりました。しかし、対象施設をゴルフ場のみとした「ゴルフ場利用税」が設けられ、現在も税制が存在しています。
ゴルフ場利用税はどうやって決まる?
ゴルフ場利用税は、以下2点が基準で課税金額が決まります。
・ゴルフ場の等級
・ゴルフ場が所在する都道府県
詳しく解説します!
ゴルフ場の等級で決まる
ゴルフ場は、ホール数や利用料金に応じて「等級」が決められています。等級は、ゴルフ場が完備している「ホールの数」「ホールの平均距離」に応じて設定されるものです。ゴルフ場の等級が高ければ高い程、ゴルフ利用税が高くなる傾向があります。
ゴルフ場が所在する都道府県によって決まる
ゴルフ場利用税は、ゴルフ場が所在する都道府県によっても異なります。そのため、ゴルフ場利用税をチェックする際には、ゴルフ場がある都道府県を確認する必要があります。
ゴルフ場利用税の納め方
ゴルフ場利用税を納める方法は2通り。
1.利用者が、プレー料金と一緒に税金をゴルフ場経営者に支払う
2.税金を預かった経営者が、利用者に代わって都道府が所在している「市町村」に配分する
ゴルフ場の経営者が、利用者よりプレー料金と合わせて税金を受け取ります。経営者は受け取った税金を、利用者に代わって都道府県に納めるのです。都道府県は、受け取った税金のうち、7割をゴルフ場が所在している市町村に配分・交付します。
皆さんがいつもコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店で支払っている「消費税」と仕組みが似ているのではないでしょうか。
ゴルフ場利用税の例
ゴルフ場利用税は、都道府県によって課税金額の設定が異なるようです。今回は「東京都」「神奈川県」を例に挙げて、ゴルフ場利用税の例を紹介します。
例1:「東京都」の場合
東京都が設定しているゴルフ場利用税の例です。
・納める額(利用者1人当たり、利用日が1日単位で決まっている)
等級 | 税率 |
1級 | 1,200円 |
2級 | 1,100円 |
3級 | 1,000円 |
4級 | 900円 |
5級 | 800円 |
6級 | 600円 |
7級 | 500円 |
8級 | 400円 |
・納める時期と方法
ゴルフ場経営者など(「特別徴収義務者」とも呼ぶ)が利用者より税金を預かって、1か月分を合計し翌月末日までに「都税事務所」「都税支所」「支庁」に申告して納付。
・ゴルフ場の基準
「ゴルフ場のホール数が18以上であり、ホールの平均距離が100m以上の施設」もしくは「ゴルフ場のホール数が9以上で、ホールの平均距離がおおむね150m以上」の施設を基準としている
例2:「神奈川県」の場合
東京都が設定しているゴルフ場利用税の例です。
・納める額(利用者1人当たり、利用日が1日単位で決まっている)
等級 | 税率 |
1級 | 1,200円 |
2級 | 1,100円 |
3級 | 800円 |
4級 | 400円 |
・納める時期と方法
ゴルフ場の経営者が、当月に預かった分を翌月の15日までに申告し、県へ納税する。
・ハーフプレーに対する特別税率
「1日に利用できるホール数が9以内」「利用料金が通常料金の5割以下」のゴルフ場を利用した場合、通常の税率より2分の1となる「特例税率」の対象となります。ただし、神奈川県が定めている等級で「4級」の税率が適用されているゴルフ場は除くので注意が必要です。
ゴルフ場利用税が非課税・減額になるケース
都道府県によって、ゴルフ場利用税が非課税もしくは減額となる場合があります。対象となる利用者は以下の通りです。ゴルフ場でプレーをする前にチェックをしておくと良いでしょう。
例1:東京都の場合
東京都の場合、以下の利用者がゴルフ場利用税の非課税対象です。
対象の利用者 | 提示する書類 |
18歳未満または70歳以上の人 | 身分証明書など年齢が確認できる書類 |
障害を有する人 | 障害者手帳など |
国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手 | 都知事が発行する証明書 |
学校の教育活動をおこなう学生・生徒または引率の教員 | 学長又は校長が発行する証明書 |
また、以下の利用者がゴルフ場利用税の2分の1に軽減される場合があります。
対象の利用者 | 提示する書類 |
65歳以上70歳未満 | 運転免許証、身分証明書など年齢が証明できる書類の提示 |
早朝や薄暮、夜間利用などの制限がある場合 |
例2:神奈川県の場合
神奈川県の場合、以下の利用者がゴルフ場利用税の非課税対象です。
対象の利用者 | 提示する書類 |
18歳未満または70歳以上の人 | 運転免許証、写真付の住民基本台帳カード |
障害を有する人 | 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳など |
国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手 | 県が発行する証明書、および利用する選手の名簿 |
学校の教育活動をおこなう学生・生徒または引率の教員 | 学長又は校長が発行する証明書 |
各都道府県の納税額や非課税対象者の情報は、各都道府県のホームページから税のページを確認してみてくださいね。
ゴルフ場利用税「廃止」を求める声も
ゴルフ関連の団体が集結して成立している「日本ゴルフサミット会議」は、ゴルフ場利用税の廃止を求める活動をしています。1989年に「消費税」が施行されたと同時に「ゴルフ場利用税」が定められ、「二重課税」であると主張しているのです。
消費税の導入まで、2つの地方税である「娯楽施設利用税」「物品税」が存在し、ゴルフを「スポーツ」としてでなく麻雀やパチンコなどと同じ扱いをされており、ゴルフに必要なクラブやキャディーバッグ、ボールなどの用具にも物品税が課せられていました。
しかし、消費税が導入された後もゴルフは「ぜいたく品」との見方を受け、「ゴルフ場利用税」の税制で存続しています。この状況を改善するために、「ゴルフ場利用税」を廃止しゴルフ人口の裾野拡大に向けて、日本ゴルフサミット会議は活動を続けているのです。
ゴルフ場利用税の今後に注目
ここまで、ゴルフ場利用税の詳細について紹介してきました。今までゴルフ利用税について存在を知らなかった人も、このページを読んでどのような内容か理解頂けたのではないでしょうか。
ゴルフ場利用税廃止の活動をしている団体が存在し、将来、今よりもゴルフのプレー料金が下がる可能性があるかもしれません。今後のゴルフ場利用税の動向に注目しましょう。